2017.8.27 地域コミュニケーション講座を開催しました

2017.8.27 地域コミュニケーション講座を開催しました

2017年8月27日、「地域コミュニケーション講座:これからカフェ」を開催しました!

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この講座は、アート・コミュニケータ同士が自らの活動の中で得た情報や問題点、社会的意義などを共有しあい、地域の中でアート・コミュニケータが果たす役割について考える場として生まれました。

「3年間の任期を満了した後の活動をどこでどのように行っていくか」というテーマは、アート・コミュニケータにとっても現役とびラーにとってもかなり関心の高いテーマです。今回は20人近い参加者のもと、既に地域で活動を行っている上神田健太さんを講師に「地域の中で様々な活動を行っていく中で感じた地域活動の今、そしてこれから」に関してお話を伺いました。

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現在、上神田さんは福島県で暮らしています。

上神田さんは福島のまちに「新しい価値を生み出している人たち」をクローズアップしていきたいと「ふくしま空間創造舎」という団体を設立しました。

この「ふくしま空間創造舎」は「まちをつくるメディア」。

福島に価値ある空間を1つ1つ創り出し、ミクロな地域経済の循環を生みだし「福島のまちを自分たちが暮らしたいまちに、自分たちの手でつくっていこう」としています。現在は福島の個性的な小規模経営者の皆さんへのインタビューを行い、SNSを通じて発信を行っています。

このような活動を行うようになった発想のベースはどこにあったのでしょう。

上神田さんは、とびらプロジェクトでアート・コミュニケータ(とびラー)として活動している2015年、東京から福島へ移り住み公務員から地域に密着した建築会社の社員として福島という町に関わるようになりました。その福島での生活の中で、魅力的な人々に出会いこんなにもすごい人たちがいるのだということをもっと外へ向けて発信したいという想いが生まれていったそうです。

そして、さらにご自身の幼少期に関して語ってくださいました。
上神田さんは岩手の出身で、お父様のご兄弟10名のうち9人が商売を営んでいる「一族のほとんどが商売人」というご家庭で育ったそうです。そのような家庭環境と、当時の地元の商店街があまりうまくいっておらず徐々に賑わいを失っていくという地域環境の中で、「まちづくり」の難しさを自然と感じていったのだそうです。

また、とびラーとしての活動もその発想の後押しをしていったそうです。
ここ数年で急速に変化を遂げている東京、蔵前。このまちでモノづくりを行う人々を取材していく中で、上神田さんは長年地元で商売をしながら地域を支え続ける人たちと新しく蔵前にやってきた若手作家やアーティストたちの交流がスムーズに行われていることに気づきます。地元の人々が若い世代を支え、その世代が地域のプレイヤーとなって新しい人の流れを作っているのです。その二者両方が混ざり合うことによって魅力的な「まち」が作られていくことに気づいたそうです。

ここから、今の福島に必要だと感じていることに話は戻ります。

「蔵前のように今の地方のまちにはクリエイティブ層が必要なのではないかと感じていて。芸術家はクリエイティブの塊、そんな人たちが普段の町の風景に入ってきたことで、自分たちが当たり前のように感じていた景色がいつもと違った風景に見えるのだと気づかされたんです。その気づきは、確実に町の中に何か新しいものをうみだしてくれる。」

上神田さんは、そういうクリエイティブ層が創造性を持って体現したものは面白いし、かっこいいし、素敵でおしゃれで楽しい。と語ります。

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「そんな時に福島で出会った人たち。そこには、福島に新しい価値を生み出している人たちがたくさんいたんです。そんな彼らの発信を、僕がアンテナを張って探し出し、伝えていきたいと。芸術を愛する人がいるまちはもっと面白くなる!」と今の思いを語ってくださいました。

そして自身と同じように学ぶアート・コミュニケータが現在200人位いること、そしてこれからもどんどん増えて行くことに大きな可能性を感じています。様々な地域へ街へアートコミュニケータがどんどん入っていけば、確実に日本中の街が変わっていくのでは?と、上神田さん。

最後に、今後の福島での活動について語ってくださいました。
今後は情報発信に留まらず、遊休不動産を活用し価値ある空間をまちにつくりだし、それがミクロな地域経済の循環を生む・そんな活動をしていきたいそうです。
まずは、取材で出会った福島で新しい価値を生み出すような仕事をする人たち。そんな彼らの商品・製品には哲学や思想があって、それをじっくりゆっくり鑑賞してもらう機会を作りたいとのことです。
(ここでお話ししていた思いが「芸術と技術のあいだ展」という形になりました。その活動はこちらから)

しんけん

話を聞きながら笑ったり、時にはうなったり、思わずメモを手にする参加者たち。今日の話の先に自分の未来を思った人も多くいたように思います。活動していく場所や内容は違っても、おなじアートを介したコミュニケーションのあり方を模索し続けていく人たちにとっては価値のある時間になったのではないでしょうか。