マイ・ミュージアム・ボックス “ひだまり”でね!

マイ・ミュージアム・ボックス “ひだまり”でね!

2月4日に「マイ・ミュージアム・ボックス “ひだまり”でね!」を実施しました。

「マイ・ミュージアム・ボックス」は、「モノを見ること・感じること・並べること・そして完成した箱を見せ合うこと」を体験するワークショップです。
今まで、何回か繰り返し開催してきましたが、今回は従来とは少し違う環境で行ってみることにしました。それは、このワークショップの持っているフレキシビリティを活かした、小さな規模での開催です。

今回の会場に選んだのは、住宅地にある、庭の併設されたカフェ「ひだまり」です。参加人数を絞り、会場のある地域から参加者を募りました。過去に開催してきた、日比谷公園や、国際子ども図書館と東京国立博物館などの会場とはまた少し違う、地域に入り込んだワークショップを目指しました。

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数日前に雪が降るなど、天候が心配されましたが、当日の空は朝から晴れ渡りました。屋外での活動を予定しているため、ちょっと安心。

まずは、準備。

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このワークショップでは、庭に落ちている枝や葉っぱ、小石などのモノを拾ってもらう予定ですが、あいにく季節は冬。落ちている植物なども数が限られます。

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そこで、雨天で庭を使えなくなったときの対策として予め集めてあった木の実や葉っぱなども出し、そこからも選べるようにしました。庭に面した縁側に並べます。会場であるお店の、コーヒーいれた後の粉や黒豆なども仲間に加えました。

受け付け開始時間になりました。応募者が全員来てくれるかが気になります。今回、親子単位での参加になっているため、どなたか一人が体調を崩しても、親子両方が欠席ということになるからです。風邪が流行っているけど、みんなが元気に参加してくれるといいなぁ。

あいにく1組がお休みでしたが、3組7人の参加者がそろって、いよいよワークショップの開始。

簡単なあいさつと説明に続いて、アート・コミュニケータによる絵本「キュッパのはくぶつかん」の読み聞かせです。物語の主人公の体験を通じて、これからどんな気持ちで、何をするのかを理解してもらいます。

さぁ、モノを拾いに庭へ。「原っぱ」を思わせる魅力的な庭が、参加者の気持ちを盛り上げます。ここから、なんだか気になるモノ、きれいだなと思うモノなど、自分のココロに響くモノを探して集めます。

一見、何もないような場所にも、小さな木の実が落ちていたり、瀬戸物のかけらが埋まっていたり、正体不明のもの(!)があったりと発見があります。
観察をするような、調査をするような、宝探しをするような…参加者それぞれが、活動にのめり込んでいくのがわかります。小さな出会いと発見が続きます。

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続いて屋内で「ミュージアム・ボックス」作り。

まずは、拾ってきたモノを紙の上に広げて、よく観察します。そして、どの方向から見せたらいいか、どう並べたら自分の思いが伝わるようなものになるかを考えます。この頃には、子どもも大人も夢中。モノと、自分のココロが向き合う時間です。

次は、いよいよ箱の中に選び抜いたモノを“展示”していきます。小さな箱の中に、自分の宇宙が広がります。

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十人いれば十種類の箱が出来上がります。
解説を書き込んだラベルを貼って完成。
しかし、箱が完成しても終わりではありません。
他の参加者がどんな箱を作ったか、自分が作った箱を見た人はどう感じるのか、鑑賞会の始まりです。

参加者やアート・コミュニケータ達の、感心したり、笑ったり、びっくりした声に包まれた鑑賞会の終了後、「マイ・ミュージアム・ボックス」は参加者に持ち帰ってもらいます。

このあと、会場であるカフェ側のご厚意で、お茶を飲みながらの「振り返りタイム」になりました。

会場の広さと参加人数のバランスや、運営上の不手際などの反省点もありましたが、参加者の意見はとても好意的なものばかり。なによりも、その笑顔に、アート・コミュニケータ一同、ひと安心するとともに「やっぱりやって良かった」という気持ちにさせられました。
今日の「マイ・ミュージアム・ボックス」は参加した皆さんの思い出になってくれたでしょうか。

●おわりに
今回、初めて使用する会場での開催でしたが、ワークショップの規模を小さくすることで、準備や広報に使う時間や労力を大幅に減らすことができました。また、開催会場のある周辺地域からのみ参加者を募るという開催の方法も可能だとわかりました。これらは、このワークショップを続けていく上で、大きな経験になったと考えています。
また、規模を変えるだけでなく、拾うモノや使用する材料などに地域性を盛り込むことで、より記憶に残る「マイ・ミュージアム・ボックス」を製作することも可能だと感じました。
今回の経験を踏まえ、このワークショップの可能性を探りながら、今後も実施していきたいと考えています。

アート・コミュニケータ 小野寺伸二