「アヤシープロジェクト」実施報告

「アヤシープロジェクト」実施報告

「アヤシープロジェクト」実施報告アヤシー① 

それは極秘に始まった…「アヤシープロジェクト」は、私たちアート・コミュニケータ東京(以下「アート・コ」)の生まれたきっかけとも言える、東京都美術館と東京藝術大学の連携事業「とびらプロジェクト」、そのスタッフ3人が開扉する(とびらプロジェクトを退任すること)と知ったときから始まった。
プロジェクト名の「アヤシー」は、開扉する3人、「伊藤」さん、「稲庭」さん、「智香子」さんの頭文字「iic」を速く読んだ発音から来ているが、これはサプライズな贈り物にするために極秘で進めるためのコードネームでもあった。贈り物と言ったが、プロジェクトが立ち上がったときには、どんな物を贈るのか、あるいは“事”を贈るのかも決まっていない状態だった。
ミーティングを重ねる中で、やがて私たちがやりたいことの輪郭が見えてきた。

◆贈る記念品は、アート・コならではの物であること。
◆140名を越える会員と開扉とびラーが全員参加できること(参加するしないは自由)。
◆もらって嬉しく、贈って楽しい物であること。

そして、いろいろな案からたどり着いたのが「アート・コ会員に3人に関するアンケートをとり、その集計結果を作品風にして贈る」というものである。
広い意味での「寄せ書き」と言えるかもしれないが、卒業アルバムや卒業文集の企画モノのページといった方が近いイメージかもしれない。これなら、設問次第で面白い内容にできそうだし、参加者すべての回答を反映できそうだ。また、どうせ贈るなら単なる読み物に終わらせることなく、もらった人が本棚の隅にしまっておくのでもなく、部屋に飾りたくなるものにしようということになった。
飾りフレームに入れて贈ることになり、しかもフレームに入れる作品(シート)を何枚か用意して、差し替えて楽しめるセット。その名も「アート・コ*レクション2022」である。

アヤシ―②来ない回答、弾むデザイン化

やがて「〇〇さんのイメージは色でいうとどんな色?」「〇〇さんを漢字1字で表すと?」などのアンケートの設問や、ストレートに3人とのエピソードなど、募集する内容も決まり、オンライン上で回答募集が始まったのだが……スタートしてもなかなか回答が集まらない。
なんと、2日で6名ほどである。一時は「設問が難し過ぎたのではないか?(でも、簡単すぎると面白くならない)」「回答者が30人くらいでも、この企画は成立するのか?(しょ、しょぼい…)」「この企画、なかったことにする?(そうする?)」などの声も挙がったが、メーリスで幾度も説明と募集を重ねる中で、最終的にはアート・コ以外の開扉とびラーも含めた141人が参加。最後は締切りに間に合わず、参加できなくて残念という内容のメールが10通くらい届くほどの注目の活動になっていた。続く作業が、実質的にこの記念品の出来を左右する、アンケート回答のデザイン化である。
これは、手を貸してくれると名乗りを挙げてくれた6名のデザイナーの手に託した。
参加者が思いの外、増えたために、その処理に各デザイナーが苦慮する一方で、それだけ多くの人の思いを担うことになった楽しさもあったようで、どの人のデザインにもどこか熱いものが感じられた。また、意外なほどデザイナー各氏各様の個性が発揮されて、セット全体のバランスもとても良いものになった。
プリントアウトしてみると、選んだフレームともぴったりマッチして、人にあげるのは惜しいほど(笑)の出来になっていたのである。

アヤシー③ 感謝と門出を祝う架け橋

そして、記念品贈呈式の当日を迎えた。
贈呈の際には、ひとつパフォーマンスを計画していた。
とびらプロジェクトが2021年度に10周年という節目の年を迎えたのだから、1期から10期までのアート・コミュニケータが揃って何かをやる贈呈式にしようと考えたのである。コロナ禍の中、多人数の参加でそんな事が出来るのか危ぶまれたが、とびらプロジェクトのスタッフを始めとする関係者各位の理解、現役とびラーたち、並びにアート・コから代表として参加してくれたプレゼンターたちの協力もあり、階段教室でとびラー1期から10期までが記念品を無言で手渡しリレーするという“感謝と門出を祝う架け橋”パフォーマンス(別名・記念品バケツリレー)で、無事に私たちアヤシープロジェクトの「アート・コ*レクション2022」を贈る事が出来た。当初のミーティングで案に挙がったが保留になっていた「巨大な、JR上野駅発の電車の切符」の製作もなんとか間に合い、贈呈式に華と笑いを添えた。現場で、贈った3人から感想を聞くこともできない、厳しいコロナ対応の中での実施であったが、その後の3人の受け取り手からの伝言やメールを見た限りでは、とても喜んでくれたようである。
こうして、立ち上げから3ヶ月間に及んだ「アヤシープロジェクト」は、「タノシー(少しサミシー)プロジェクト」として多くの人の記憶に残り、終了した。参加してくれた皆さん、ありがとう!