11/21-22 東京藝術大学美術館で撮影型鑑賞プログラムを実施しました

11/21-22 東京藝術大学美術館で撮影型鑑賞プログラムを実施しました

 11月21・22日の両日、東京藝術大学大学美術館「芸術未来研究場」展の共生社会をつくるアートコミュニケーション共創拠点の「文化的処方」に関連する体験型の展示での、「カメラで自分の『好き』をシェアしよう/撮影型鑑賞プログラム」実施のお手伝い(ファシリテータや鑑賞サポート)をしてきました。(https://kyoso.geidai.ac.jp/detail.php?id=TspxNWjk

 これは、株式会社QDレーザの網膜投影カメラキット「DSC-HX99 RNV kit」(レティッサネオビューワ)というデバイスを使い、展覧会場内で撮影鑑賞会をしようというプログラム。テクノロジーを活用したワークショップになります。

写真提供:共生社会をつくるアートコミュニケーション共創拠点

 「レティッサネオビューワ」は簡単に言うと、ロービジョンと呼ばれる見えにくさのある方でも、見たい景色の映像を安全なレーザを網膜に直接投影することにより、見ることができるというデバイスです(その方の視覚障害の状況によって、見え方には個人差があります)。カメラ部分はソニー株式会社のデジタルスチルカメラCyber-shot
DSC-HX99を搭載しており見えたものを撮影、保存、シェアすることもできます。

 今回は、“目の見える方と見えにくさのある方”が一緒にこのデバイスを使い、体験、展示会場の中からお気に入りの作品、気になる景色などを見つけ、それを撮影して、画像を参加者で共有・鑑賞するという内容です。
 参加者に展覧会や鑑賞会を楽しんでもらうことはもちろんですが、一般にこのデバイスを知ってもらうことと、デバイスの可能性を探ることも目的に行われました。

 まずは、藝大の桐山孝司先生(映像研究科教授)によるデバイスの説明からスタート。続いて、参加者の皆さんにデバイスの操作に慣れてもらう意味もあり、全員でデバイスを使い美術館所蔵の2作品の鑑賞。続いて2グループに分かれての展覧会全体の鑑賞と撮影。そして最後は、参加者の撮影した画像を大型のモニターに映し出してのシェアタイムです。

 最初は恐る恐るデバイスに触っている感もあった参加者ですが、すぐに操作にも慣れて、鑑賞や撮影を楽しんでいました。

“見える人”は、半透明のシリコンでファインダー部分を塞いだ上で見たり(それでもピントが合った映像を見ることができる!)、メガネをかけている人はメガネを外して見たりして(それでもメガネをかけているときのようにピントが合った映像が見える!)その効果を感じていましたが、やはり“ロービジョンのある方”にとっては、衝撃の体験だったようです。

 「普段は美術館のキャプションも、2㎝くらいまで近づかないと読むことが難しい」と言っていたロービジョンの参加者の「あっ、普通の距離で見えます!」という歓声に、他の参加者やサポートをしている私たちも感激。

 シェアタイムには、展示作品の感想だけでなくデバイスへの感想や期待も続出。見ることに対する新しい体験をし、未来を感じる鑑賞会になりました。